施行へ向け細則明確化
改正建設業法の施行令(政令)は、10月1日施行部分を5月15日に、2021年4月1日から施行する技術検定関連部分を同22日にそれぞれ閣議決定済み。著しく短い工期による請負契約の禁止規定の対象は、建設業許可の要件とあわせ、建築一式工事は1500万円以上、その他の建設工事は500万円以上とした。
監理技術者の専任緩和については、監理技術者がその職務を行うための基礎的な知識および能力を持つと認められる者を補佐として配置した場合に、2現場までの兼務が可能となる。
上位下請けが指導監督的な実務経験を持つ主任技術者を専任で配置する場合に、下位下請けの主任技術者の配置を不要とする「特定専門工事」制度は、対象工種を鉄筋工事と型枠工事に規定。請負代金で3500万円未満の工事を対象とした。
「建設機械施工」は「建設機械施工管理」に改称する。
施行令より詳細な制度を定める施行規則(省令)は、12日までパブリックコメントを実施中。提出された意見内容を踏まえて、6月中に公布する。
経営業務管理責任者については、法改正で事業者全体として適切な経営管理責任体制を有しているかどうかを判断すると見直したことを踏まえ、適切と認められる体制を施行規則で規定する。その会社で5年以上の財務管理、労務管理、業務運営のいずれか(兼務可)に携わっている者を補佐として配置することで、経営を担う常勤役員に求める経験を緩和する。
具体的には、建設業の財務管理、労務管理、業務運営のいずれかの役員経験2年以上を含む▽5年以上の役員・役員に次ぐ地位の経験▽5年以上の役員(他業種も可)経験–を求めることとする。
従前の5年以上の建設業に関する経営業務の管理責任者経験についても、能力を有するものとして認められる。建設業の種類ごとの区分は廃止し、どの種類でも建設業経営の経験として取り扱う。
建設業許可で必須となった社会保険加入については、すべての適用事業所で届出を行うことを要件とする。
施工体制台帳の書類の1つとして、いわゆる「作業員名簿」が位置付けられたことから、施工体制台帳に記載を求める事項を追加する。工事従事者の氏名などの基本情報や社会保険の加入状況、中退共(中小企業退職金共済)または建退共(建設業退職金共済)への加入状況、安全衛生教育の内容のほか、任意で保有資格などの記載を求める。
施工体制台帳や帳簿に関しては、添付書類などの電子化を認める規定を設ける。書面で契約を締結した場合でも、契約書や下請契約書の写しを電子データ化して添付することなどを可能とし、すべてをペーパーレスで対応できるようにする。
施工体系図の記載事項には、下請業者の代表者氏名や許可番号などを追加する。現場での下請業者の建設業許可証の掲示廃止を受けた措置。
監理技術者講習の有効期間の見直しも行う。現行、講習を受けた日から5年間としているが、これを受講日の翌年の1月1日を起算点として5年間に統一する。
経営事項審査に関する見直しでは、所属する技術者・技能者が継続的に能力向上に取り組んでいる建設企業を評価する項目を新たに設ける。
また、企業会計基準などが頻繁に大きく変更されていることから、講習などを受講して登録を受けている公認会計士、税理士、登録経理試験の合格者の数を評価対象とする。評価基準の変更に伴い、登録経理講習を実施する機関に関する規定も設ける。
◆適正工期の議論も詳細設計へ移行
今回の改正のポイントである工期へのアプローチへの核となる「工期に関する基準」については、中央建設業審議会に設置した「工期に関する基準の作成に関するワーキンググループ(WG)」で検討を進めている。4日に開いた第4回会合で基準の骨子案を提示した。
基準の趣旨や受発注者双方の責務を明らかにした上で、工事全般、工程別、分野別で工期設定において考慮すべき事項をまとめている。骨子案を基に次回会合以降、詳細な検討に移り、6月をめどにWGとしての基準案をまとめ、7-8月の中建審総会で基準を作成する。