令和4年2月より建設キャリアアップシステムの代行申請が行政書士に限り認められることとなります
日本行政書士会連合会と一般財団法人建設業振興基金(以下「建設業振興基金」という)で協議を重ねた結果、令和4年2月より建設キャリアアップシステムの代行申請が行政書士に限り認められることとなります。
建設キャリアアップシステム(CCUS)とは?
国土交通省は、同システムの導入スケジュールについて「運用開始初年度で100万人の技能者の登録、5年で全ての技能者(330万人)の登録を目標とする」と述べています。また、2020年1月には外国人技能実習生のCCUS登録を義務化することを告示しました。
このような背景から、今後、建設キャリアアップシステムへの対応は、ますます必要性が高まると思われます。
建設キャリアアップシステムの目的
技能者のキャリアを見える化
技能者一人ひとりの本人情報・保有資格・社会保険加入状況等をシステムに登録、個人カードに就業履歴の情報を蓄積していくことで、技能者のスキルやキャリアをわかりやすく「見える化」。技能者が受けるべき適正な処遇を受けられることを目的としています。
将来の技能者確保
若年層に、建設業が将来にわたり「魅力的な職業」であると認識してもらえるよう、個々の技能者のスキルアップが確実に処遇の向上につながる環境を整備。登録された就業実績や保有資格・講習受講実績などにより技能者の能力をレベル分けし、客観的に評価する基準の構築が検討されています。
事業者の業務負担軽減
現場で技能者の資格保有状況や社会保険加入状況を簡単に確認できるなど、現場管理の効率化が見込まれます。また、建設業退職金共済事業本部(通称・建退共, けんたいきょう)が管理する退職金の管理なども統合されていく見込みで、事業者の事務作業の効率化も期待されています。
建設キャリアアップシステム
技能者のメリット
メリット1.正当な賃金や処遇を受けることができる
個人カードに保有資格や就業履歴をデータとして蓄積することで、これまで伝わりにくかった建設業の技能者の経験やスキルが客観的に表現できるようになり、適正な賃金や処遇を受けられる機会が広がります。
例:
【経験】→「就業日数」」で証明できる
【知識・技能】→「保有資格」で証明できる
【マネジメント能力】→「登録基幹技能者講習の受講歴」「職長経験」で証明できる
メリット2.建設業退職金共済事業本部からの退職金が適切に受け取れる
ICカード読み取りにより、就業実績が明確に管理されるため、建設業退職金共済事業本部の退職金に関わる事務手続きがスムーズになります。就労実績にあわせて手帳に貼り付ける証紙の枚数を明確に確認できるため、適切な退職金が受け取れます。
メリット3.スキルアップの目標・計画が設定しやすくなる
建設業振興基金では、保有資格や就業実績に応じて、技能者の能力を「見習い技能者」「中堅技能者」「職長・熟練技能者」「登録基幹技能者・上級職長」のようにレベル分けすることを検討しています。各レベルによってカードの色を変えることも検討されており、目指すべきキャリアの道筋が明確になることが考えられます。
建設事業者のメリット
メリット1.CCUS対応現場としてアピールできる
いち早く建設キャリアアップシステムに対応している現場として、技能者・施工主・取引先等にアピールすることができます。人手不足が重大な課題となるなか、就業環境がきちんと整備されていることをアピールするひとつの手段となります。
メリット2.下請け事業者は元請け事業者にアピールできる
従業員のキャリアや技能が見える化できるため、「当社には、こんな資格や経験を持った人が〇人いる」など、技能者の技能・経験を具体的にアピールすることができます。
メリット3.業務負担が軽減できる
ICカードによる勤怠管理の明確化、スキルの見える化による採用の効率化、工事完了後にも入退場情報が確認できるトレーサビリティやコンプライアンスの確保など、建設事業者の業務負担軽減が見込めます。また、建設業退職金共済事業本部との連動が進めば、退職金に関わる事務作業がさらに効率化されることが期待されます。