建設業の継ぎ手に朗報 事業承継の許認可が継続される!?

建設業許可

M&Aのスキームで見る事前認可のしくみ

事業譲渡、法人の合併、法人の分割の3つのケースで見てみましょう。

事業譲渡の場合

 建設業者が建設業の全部の事業を譲渡する場合、譲受人は国土交通大臣もしくは都道府県知事の認可を事前に受けることで、譲渡人が持つ建設業法の規定による建設業者としての地位を譲渡・譲受の日に承継できます。

⑴国土交通大臣の認可

・譲渡人か譲受人のどちらか一方が国土交通大臣の許可を受けているとき
・譲受人と譲渡人が別々の都道府県知事の許可を受けているとき

⑵都道府県知事の認可

・譲渡人と譲受人が同一の都道府県知事の許可を受けているとき

⒉法人の合併の場合

 建設業者である法人が合併によって消滅する場合、合併存続法人または合併により設立される法人は、以下の認可を事前に受けることで、合併消滅法人の持つ建設業法の規定による建設業者としての地位を合併の日に承継できます。

⑴国土交通大臣の認可

合併消滅法人または合併存続法人のどちらか一方が国土交通大臣の許可を受けているとき
合併消滅法人または合併存続法人が別々の都道府県知事の許可を受けているとき

⑵都道府県知事の認可

合併消滅法人および合併存続法人の全てが同一の都道府県知事の許可を受けているとき

⒊法人の分割による場合

 建設業者である法人が分割によって建設業の全部を承継させる場合、分割承継法人は、以下の認可を事前に受けることで、分割被承継法人が持つ建設業法の規定による建設業者としての地位を分割の日に承継できます。

⑴国土交通大臣の認可

・分割被承継法人または分割承継法人のどちらか一方が国土交通大臣の許可を受けているとき
・分割被承継法人または分割承継法人が別々の都道府県知事の許可を受けているとき

⑵都道府県知事の認可

・分割被承継法人および分割承継法人の全てが同一の都道府県知事の許可を受けているとき

 上記⒈〜⒊のケースを見てもわかるように、事前の手続きによって従来あった〝承継の空白期間〟がなくなります。M&Aにおいては、「対象会社の一方が国土交通大臣の許可を受けているときと、双方の対象会社が別々の都道府県知事の許可を受けているとき」は国土交通大臣の事前許可を受け、「双方の対象会社が同一の都道府県知事の許可を受けているとき」は「その都道府県知事の事前許可を受ける」ことになります。

 なお、いずれの場合も、詳細は今後、国土交通省令によって定められることになります。

個人事業主の相続の場合も許可の空白期間が生じない承継が可能に

個人事業主の相続の場合も許可の空白期間が生じない承継が可能に

 個人事業主である建設業者が死亡した場合、相続人が被相続人の死亡後30日以内に国土交通大臣または都道府県知事の認可を受けることによって、相続人は被相続人が持つ建設業法の規定による建設業者としての地位を承継できます。

改正法の施行はいつから?

 改正法の施行は一部の規定を除いて、公布の日から1年6か月を超えない範囲内で、政令で定める日から施行されます。この改正案が国会で可決成立したあと、1年6か月の間に、法施行のための政令や国土交通省令が定められます。

 そのため、具体的な事業承継の事前認可の基準や必要な手続きなどについては、国土交通省令の制定を待つことになります。

 事前の手続きをしっかり行っておけば、事業承継時に「まだ、許可が下りていないから他の申請手続きができず、仕事が受けられない」といったこともなくなります!

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