経営業務管理者要件を明示/国交省
国土交通省は、改正建設業法の施行に向け、同法施行規則の改正案をまとめた。経営業務管理責任者の配置に関する合理化や経営事項審査の見直し内容の詳細を定めている。13日から同法施行規則の改正省令案に対するパブリックコメントを開始。6月に公布し、10月1日に施行する。技術検定に関係する規定のみ2021年4月1日の施行となる。
経営業務管理責任者については、法改正で事業者全体として適切な経営管理責任体制を有しているかどうかを判断すると見直したことを踏まえ、適切と認められる体制を規定した。その会社で5年以上の財務管理、労務管理、業務運営のいずれか(兼務可)に携わっている者を補佐として配置することで、経営を担う常勤役員に求める経験を緩和する。
具体的には、建設業の財務管理、労務管理、業務運営のいずれかの役員経験2年以上を含む▽5年以上の役員・役員に次ぐ地位の経験▽5年以上の役員(他業種も可)経験--を求めることとする。
従前の5年以上の建設業に関する経営業務の管理責任者経験についても、能力を有するものとして認められる。建設業の種類ごとの区分は廃止し、どの種類でも建設業経営の経験として取り扱う。
建設業許可で必須となった社会保険加入については、すべての適用事業所で届出を行うことを要件として規定する。
新たに創設した事業承継制度では、譲渡や合併、分割の際に必要となる書類を明記した。
施工体制台帳の書類の1つとして、いわゆる「作業員名簿」が位置付けられたことから、施工体制台帳に記載を求める事項を追加した。工事従事者の氏名などの基本情報や社会保険の加入状況、中退協または建退共への加入状況、安全衛生教育の内容のほか、任意で保有資格などを記載する。
施工体制台帳や帳簿に関しては、添付書類などの電子化を認める規定を設けた。書面で契約を締結した場合でも、契約書や下請契約書の写しを電子データ化して添付することなどを可能とし、すべてをノンペーパーで対応できるようになる。
施工体系図の記載事項には、下請業者の代表者氏名や許可番号などを追加する。現場での下請業者の建設業許可証の掲示廃止を受けた措置。
監理技術者講習の有効期間の見直しも行う。現行、講習を受けた日から5年間としているが、これを受講日の翌年の1月1日を起算点として5年間として統一する。
経営事項審査に関する見直しでは、所属する技術者・技能者が継続的に能力向上に取り組んでいる建設企業を評価する項目を新たに設ける。
また、企業会計基準などが頻繁に大きく変更されていることから、講習などを受講して登録を受けている公認会計士、税理士、登録経理試験の合格者の数を評価対象とする。評価基準の変更に伴い、登録経理講習を実施する機関に関する規定も設けた。