建設業の役員が退任する場合には注意
許可を持つ建設業の役員が退任する場合にはこれが100%問題になります。建設業法7条第1号において、「許可を受けようとする者が法人である場合はその役員のうち常勤であるものの1人が許可を受けようとしている建設業に関し5年以上の『経営業務の管理責任者』としての経験を有すること」と書かれているのです。
つまり、M&Aで会社を買うこととは別に、今まで通りに事業そのものを継続していくための条件(要件)が付されているのです。こうした規制は、ペーパーカンパニーや不適格業者を排除することが本来の目的なのですが、中小企業M&Aの場合における「経営業務の管理責任者」の問題は、売り手の社長のみが「経営業務の管理責任者」であるケースが大半であり、買い手が「経営業務の管理責任者」を送りこめない場合はディールが成立しないリスクがあるのです。
仮に強引に話を前に続けてみたとしても「経営業務の管理責任者」問題がクリアできないとなると、今度は役員退職慰労金をいつ、どうやって払うのか、という問題も発生してきます。つまり、売り手が引退できなくなるのです。対象会社が建設業許可を持っている場合には前もって確認が必要な項目です。