ヒューマン総研
公共機関からの受注は堅調だが、民間からの受注が大幅に減少
建設工事の出来高は、2020年4月が対前年同月増減率0.2%減、5月が同2.1%減、6月が同2.9%減と低下傾向ではあるが、現状ではそれほど大きな落ち込みにはなっていない。
出来高の上期合計を計算すると25兆5265億円となり、対前年の増減率で0.4%減と微減にとどまっている。手持ち工事高も高水準で推移しており、当面は建設業の市場環境が大幅に悪化することはないと考えられる。
しかし、受注工事高は2020年に入ってから全ての月で前年同月割れとなっており、将来的な市場環境については不安がある。公共機関からの受注工事高は、2020年2月以降は6カ月連続で前年同月を上回っており、堅調な公共工事が建設業の市場を一定レベルで底支えすると思われるが、民間からの受注工事高は1~7月までの月で、前年同月割れと低迷しており大きな不安要素になっている。
今後、民間企業の設備投資などの動向次第では、建設業の市場環境も、大幅に悪化する危険性をはらんでいる。