「一番弱い立場」収入は激減
従業員を雇わず個人で仕事を請け負う建設業の一人親方が、新型コロナウイルスの流行で苦境に立たされている。感染拡大を防ぐため工事が止まり、収入を絶たれた人も少なくない。企業側の受注や景気の状況といった都合で、仕事量が左右される「雇用の調整弁」になっている側面もあり、立場の弱さがあらためて浮かび上がっている。
コロナ禍では一人親方などのフリーランスについて、補償などの法的保護が課題になった。中でも一人親方は企業に雇われて働くのが難しい面がある。建設業は受注に波があり、閑散期に社員を抱えておくよりは、繁忙期に外注した方が効率的-という長年の慣行があるためという。
組合員に3回実施したアンケートでは、「4、5月の収入や売り上げが前年同期比でどのくらい減少したか」の問いに、約4千件の回答の4割弱が「5割以上減った」と答えた。生活費や工事中断、現場の閉所といった不安も寄せられた。
先行きも不透明という。全建総連の担当者は「感染拡大防止で、特に住宅メーカーは3月以降に営業活動を控え、夏以降の仕事がない例がある。地方の一人親方は住宅系の仕事が多く、どうなるか」と懸念する。